できれば避けたかった舞台。ライナーズは2年連続でディビジョン2との入替戦に挑む 〜ライナーズvsD-Rocks展望〜

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入替戦とは。
多くのチームスポーツが、継続的に実力が拮抗したリーグ戦を実施するために導入している仕組み。リーグ終了後、上位リーグのチームと下位リーグのチームが対戦し、下が勝てば立場が入れ替わる。必ずドラマが生まれ、ライナーズも多くのストーリーの当事者になってきた。

昨季入替戦ラウンド1は、田中健太の大活躍で圧勝した。

リーグワンの入替戦はホスト&ビジターで行われる。今季ディビジョン1(1部リーグ)で2年連続最下位になった花園近鉄ライナーズは、ディビジョン2(2部リーグ)1位の浦安D-Rocksと入替戦を行う。昨シーズンと同じ組み合わせで、18日(土)にスピアーズえどりくフィールド(東京)で、24日(金)に東大阪市花園ラグビー場で対戦。2試合で得た勝点がより高い方が、来季にディビジョン1で戦うことになる。

ものすごい緊張感だからこそ、この歓喜。

リーグワンでは過去2季で、5組の入替戦が行われ、そのすべてが1戦目に勝利したチームが最終的に入替戦を勝ち抜いている。

入れ替えは1季に1度ずつ発生。 ※太字がD1チーム。

2戦合計での戦いとはいえ、1戦目を勝利したチームが圧倒的に有利と考えていい。

花園近鉄ライナーズメンバー

1.井上優士 2.アンドリュー・マカリオ 3.ラタ・タンギマナ 4.ジェームス・ブラックウェル 5.サナイラ・ワクァ 6.菅原貴人 7.ジェド・ブラウン 8.野中翔平
9.河村謙尚 10.クウェイド・クーパー 11.片岡涼亮 12.ステイリン・パトリック 13.トム・ヘンドリクソン 14.ジョシュア・ノーラ 15.セミシ・マシレワ
16.金子惠一 17.田中健太 18.文裕徹 19.松岡勇 20.パトリック・タファ 21.中村友哉 22.岡村晃司 23.竹田宜純

3月24日以来となる11片岡。強力WTBが帰ってきた。

今季、リーグ戦を通してライナーズが成し遂げたことはなんだったのかが、よく見えるメンバー構成になった。
象徴は、9河村。元オーストラリア代表のレジェンドであるウィル・ゲニアの2番手を争う若手SH陣の一角だった2季目の若手が、完全にレギュラーポジションを奪ったことを物語る。

河村謙尚は、昨年の入替戦がライナーズ初トライ。

1季目の1井上の躍進も心強い。初スタメンの13節イーグルス戦では、いきなりリーグベスト15の活躍。スクラムも強く、ボールを持ってもパフォーマンスが高い。自分とチームメイトの人生が変わるかもしれない試合でのスタメン。全ての意味で、得るものは多いはずだ。

リーグ最終戦、ついにトライを奪った井上。

一部では「スタメン15人中、10人がカタカナ」と揶揄されるが、ここにもライナーズの長期的なチームづくりが現れている。
現在のリーグワンでは、外国出身選手でも5年連続で日本に居住すれば、枠の制限なく出場できる(カテゴリA)。2018年1月に降格したライナーズは、国籍を問わず若い選手を積極的に獲得してきた。5サナイラ・ワクァ、14ジョシュア・ノーラはその成果だし、ワールドカップに出場した15セミシ・マシレワも2017年の加入時には無名の若手選手だった。19タファも来季はカテゴリAになる見込みで、その後にセフォ、ドモニなどの日本なら大学でプレーする年代の選手をたくさん控え、日本出身の選手たちと激しいポジション争いをしている。

マシレワはすっかりライナーズの顔。

そして、チームの中心には10クウェイド・クーパーがいる。元オーストラリア代表のファンタジスタは2019年に加入してもう5年目。来季もライナーズでプレーすれば、彼の人生を通じて最も長く在籍するチームになる。世界中のレジェンドが集結するリーグワンでもここまで長く在籍する選手は稀。そのキャラクターも相まって完全に精神的支柱である。事実、昨季の入替戦は怪我からの復帰戦になったD-Rocks戦で、チームを一変させて見せた。

ライナーズに来てから、人格者キャラを見に付けたクーパー。

昨季と同じく、今季もライナーズは序盤から敗戦を重ねた。勝利したのは、14節のブラックラムズ戦だけだ。しかし、試合の風景は全く別物だった。特に2月以降は、ディフェンスが強固になり、レジェンドが試合に出なくとも、アタックでもディフェンスでも競合とも期する戦いをしていた。誰かが打開してくれるわけでもなく、強いスクラムを武器に相手の陣形を崩してトライを取り切る姿は、この5年のライナーズの集大成と言ってもいい。
だからこそ、勝ち切ろう。若手の急激な成長は、世界から才能が集まるディビジョン1での経験があってこそだ。成長を持続させるのは、今チームに携わる全ての人たちの義務でもあるのだから。

ここまで抜群のアタック能力を見せる菅原。2018年降格後加入の逸材。

D-Rocksは強い。合併後初めてのシーズンだった昨季よりもチームとして成熟し、課題であったペナルティの多さも今季はリーグ最小と完全に払拭した。
12ケレビと13ゲイツは強力なランナーで、そこで遅れをとれば外にいるであろう11石井、14リサラ、15安田の餌食になる。
9飯沼、10田村の視野も広く、相手を撹乱するシーンは今年も多く見られた。
間違いなく強豪で、いいチームだ。

最終的に、15人対13人で試合が行われた昨季入替戦はスクラムも圧倒。

キックオフからのボールはキープ、まずはアタックがしたい。風が強くなりがちな海沿いのグラウンドだ。コイントスに勝ってエリアを選択し、試合開始から数分攻め続けられれば、運を味方につけることができる。
ミスを恐れずボールを回して、スクラムになれば思い切って押し込もう。
真夏日も想定される天候なら、クーパーと田村のキック勝負が見ものになる。河村は飯沼とのマッチアップが楽しみだ。日本代表クラスと目されるSHを上回れば、勝利のキーマンと呼ばれるに相応しい。
ダイナボアーズ戦のような、待つディフェンスは見たくない。今季の苦戦の大きな要因は、1試合のうち20分だけディフェンスが極端に甘くなる「魔の20分間」の存在だ。相手は、その時間を心待ちにしている。

最終節のあと、あいさつをする向井ヘッドコーチ。この試合は「魔の20分」が試合開始からだった。

D-Rocksはリベンジマッチという最高のストーリーを持つ。ライナーズにはそれをも飲み込む執念がある。
勝てると思えば負ける。今季の戦いを振り返れ。御し易しと一瞬でも思えば、ライナーズは後塵を踏む。プライドを守ろうとするな、降格の屈辱を思い出せ。空虚な圧勝を続ける日々に戻りたくない。充実したつばぜり合いをする環境を、次の世代に繋げるために。
勝てライナーズ。

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編集長 前田

編集長 前田東大阪探検隊隊長・編集長

投稿者プロフィール

特定非営利活動法人週刊ひがしおおさか代表編集長兼東大阪探検隊隊長。
ふとした思いつきからはじめたWEBサイトが、13年。
これからは地域に嵐を呼びます。覚悟しろ!

好きなモノ:花園近鉄ライナーズ、阪神タイガース、競馬、ゲーム、プラモデル、楽でお金になる仕事。
嫌いなモノ:愛、本物

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