「近所のフツーの本屋」栗林書房が目指すもの。リニューアルオープンで新たな1ページ

   

最近本、買ってますか?
電子書籍にもすっかり慣れたし、amazonで注文すれば明日には届く。
毎日30分は何かしら読んでる活字と漫画が養分の記者ミホロボットですが、ネットメディア大航海時代に生きる我々にとって衝撃のニュースが舞い込んできたのは今年1月。
「小阪駅高架下の栗林書房が閉めるらしい」。

高架下の「レッド小阪店」営業当時の様子。

あー、とうとうこの時が来てしまった…と悲しみに暮れていたのも束の間。
翌週には駅南側にリニューアルオープン、さらに5月7日には商店街の並びに再移転し再リニューアルオープン。
怒涛の再移転を終え、90余年の歴史をもつ小阪の本屋が新章に突入しました。

サンロード小阪、chocozap(元マツモトキヨシ)の隣。

1932年に創業し、小阪の歴史とともに歩んできた栗林書房。
文豪・司馬遼太郎が書籍を取り寄せていたことでも知られ、学校が多いこの地域で営業を続けてきました。

現店長・栗林秀一さんの祖父が長瀬で貸本屋としてはじめ、小阪に移ってからは昭和〜平成にかけて分店をオープン。一時は鴻池や八戸ノ里、京橋のツインビル内、西宮など店舗を拡大し、本屋全盛時代を経験しました。
1990年代から徐々に出版不況が訪れると、時代の波に合わせて規模縮小やユーザーの需要に合わせた経営にシフトしていきます。

近年ではイベントも開催。週刊ひがしおおさかでは「ライナーズオフィシャルファンブック」の発刊イベントでお世話になりました。

家賃高騰を機に駅前のシンボルだったレッド小阪店の閉店を決めると、駅南側の自社外商部がある場所へ移転。
直後に持ち物件だったラーメン店「和人」閉店をきっかけに、跡地へ再移転し5月7日に再リニューアルしました。
実はここ、小阪での創業当時本店があった場所。原点に帰ってきたことになります。

「暗い話も多い業界ですが、イベントを実施したり、小規模店舗でもできることはあるはず」と、栗林さん。

17坪の店内は書店としては小規模も、バランスよく話題書、雑誌、文庫本、絵本、コミック…など本屋を本屋たらしめる商品がずらりと並んでいます。
「そんなにトガったことはしてないです。強いて言えば、面積の割には参考書関連や児童書が多いですね。学校がたくさんある地域なので。」

17坪の店内に何を置くか。センスが光る。漫画大好きミホロボットは「ドッグスレッド」と「平和の国の島崎へ」があることに感動。

たしかに今の時代、やりたくなっちゃうと思うんです。○○書専門店とか。
しかし、栗林書房はあくまで「フツーの本屋」であり続けます。
「本屋は基本的にはインターネットを使えない人が来るもの。リニューアルしてから小さい子が1人で入ってきたことがあったんですが、それを見た時、地域に書店がある理由ができたなと思いました。」
時代と逆行しているかもしれないけれど、誰も取りこぼさない受け皿は絶対に必要で、知識は誰でも得る権利がある。
それって地味だけどめっちゃ重要なこと。

お客さんも店員さんも顔が見える売り場。

「梅田に行けずに、ここがなくなったら困るという人のために。そういう人たちをがっかりさせないために、うちはあり続ける必要はあります。古臭いと思われるかもしれないけれど、わかりやすく寄り添う売り場を作っていきたいです。それが地元に根付いた売り場だと思います。」
機会の平等を提供し維持することが、「フツーの本屋」の使命だと栗林さんは熱弁します。

あえてフツーじゃないところをあげるとすれば、地下室があるってこと。秘密基地感!

たくさんの本は置けないけれど、取り寄せはもちろん大歓迎。
一般的に人気で需要のある本を中心にしていますが、2〜3割の選書は栗林書房としての腕の見せどころです。
ちょっと変わった本、物議を醸す本でも問い合わせがあれば入荷する方針とのこと。
求められていることには全力で応える。それが創業からずっとブレない強みです。

空き店舗となっている外商部は、今後イベントやレンタルのスペースにするなど活用方法を模索中。

普通のことを普通に。ブレない芯で小阪に日常を提供し続ける栗林書房。
本で困ったことがあれば、私たちは栗林さんに相談できる。本屋は知識を得るための最後の砦。
そう思うと、あの紙の匂いがもっと愛おしくなってくるはず。
日々の生活に、これからも愛ある1ページを。

■栗林書房
住所 大阪府東大阪市小阪本町1-3-2
営業時間 月~土9:00~20:00 日、祝 10:00~19:00
定休日 第二・第三日曜(予定)

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mihorobot

mihorobot東大阪探検隊・記者

投稿者プロフィール

生粋の八戸ノ里っ子。人気の八戸ノ里東小・小阪中学校校区に住んでいる。
取材へ行けば、同級生のお父さんがやってるお店だった・・・ということが多々あり。
尊敬する人は藤子・F・不二雄先生。

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コメント

    • 西村孝
    • 2024年 6月 05日

    高校生の時、エクスポ70当時からお世話になりました。
    東隣の八戸の里駅の学校に、もう一つ東隣の若江岩田から徒歩で通学していましたが、帰り道は小阪へ寄り道をして栗林さんに寄ってから、歩いて帰ることも度々ありました。
    店舗前で、散歩中の司馬遼太郎先生ご夫婦とお会いした時に高校生の私にも挨拶を返して下さったという思い出もあります。
    文庫本専門店がオープンしてからは、好きな作家さんの本を買い揃えたものです。
    記事を拝読して、また訪ねてみたいと思いました。
    そこにあるのが地域の人には当たり前で安心できる本屋さん、そんな栗林さんは素敵です。

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